京・近江の写真 春夏秋冬

京、近江四季折々の自然の風景とそこに住む人々、祭り、伝統芸能の写真

菜の花忌の日の司馬遼太郎記念館その3


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司馬遼太郎のいろいろな小説に思いを寄せながら館内を見学後、思いにやや上気した気持ちを静めるべく、改

めて庭を散策したのち、NHKの大阪ホールに向かった。

私事で恐縮であるがわたしは司馬遼太郎氏と過去にやや関わりを持った時期があり(というより司馬さんの奥様

みどりさんとのかかわりといったほうが正しいかも)、以来わたしは司馬文学の熱心な愛読者となり、司馬さんの

小説や随筆や講演記録を読み漁った。またこのブログに「別編司馬遼太郎の世界」というタイトルのページを作

り、小説の読後感を文章にまとめて掲載したりした。記念館に友の会というものがあり、そこの会員になって年四

回発行の会誌「遼」を購読したりしている。その会誌が創刊されたとき、読後感想の原稿応募があり、わたしも応

募した結果、採用され第一回目の会誌に掲載された。「燃えよ剣」という新選組副長の土方歳三を主人公にした

小説で会誌に掲載された一方で、前述の通りブログに「別編司馬遼太郎の世界」というタイトルのページを作っ

たからそのブログの掲載第一号にこの「燃えよ剣」を掲載した。

9ページの愛読書1に掲載していますが、下にその「燃えよ剣」を改めて掲載しましたのでご笑覧いただければ幸

いです。また愛読書としては40冊を紹介していますので併せてご笑覧いただき、司馬文学への興味をお持ちい

ただければこれにすぐる喜びはありません。

    愛読書1「燃えよ剣
     
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この「司馬遼太郎の世界」は司馬さんの熱烈な一ファンとして、数多くの著作の紹介を中心に作ってい

きたいと思っています。

司馬さんについて


1923-1996大阪市 生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35

年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を一新する話題作を続々と発表。1966年に『竜馬がゆ

く』『国盗り物語』で菊池寛賞を受賞したのを始め、数々の賞を受賞。1993年には文化勲章を受

章。司馬史観とよばれる自在で明晰な歴史の見方が絶大な信頼をあつめるなか、1971年開始の『街道

をゆく』などの連載半ばにして急逝。享年72。


紹介するトップは昭和3711月から昭和393月まで週刊文春に連載された「燃えよ剣」です。司馬さ

んはこの小説で新選組副長土方歳三を新しい視線で捉え、魅力ある男の典型を描きました。


幕末の動乱期を、新選組副長として剣に生き、剣に死んだ男、土方歳三の華麗なまでに頑なな生涯。武

州石田村の百姓の子バラガキのトシは、生来の喧嘩好きと組織作りの天性によって、浪人や百姓上り

の寄せ集めにすぎなかった新選組を、当時最強の人間集団へと作りあげ、自身も思い及ばなかった波紋

を日本の歴史に投じてゆく。司馬さんの幕末ものの頂点をなす長編です。

テレビの世界の「燃えよ剣」             


ある方が司馬さんに、お書きになった作品で一番お好きな作品はどれですかと質問されると、司馬さん

は「燃えよ剣」ですとお答えになられたのは有名な話です。


わたしは京都生れですが、昭和四十三年勤務先の転勤で東京に住むようになりました。


当時東京は日本の顔として近代都市に変貌する一方、喧騒なだけの車社会を優先するような街になりつ

つあり、静かな京都で生まれ育った私にとっては住みづらい場所でした。     


そんなある日仕事に疲れて社宅に帰りますと、懐かしい京の「わらべ唄」のやさしい旋律が耳に入って

きたのです。それはNET系列で放映しているテレビ時代劇「燃えよ剣」の、ある場面で流れているわ

らべ唄でした。


島田順司の扮する沖田総司が京都の 中京区 にある六角堂の境内で童たちとわらべ唄を一緒に唄いながら

遊んでいるシーンでした。


その番組を知ってから都会の生活に疲れた心が癒されるようになりました。栗塚旭土方歳三、島田順

司の沖田総司、舟橋元の近藤勇左右田一平斎藤一らが繰り広げる新選組隊士たちの、時代の流れに

立ち向かう苦悩や武士としての誇りや人としての夢、土方歳三新選組にかける情熱と生きざま等が生

きいきと描かれている人間ドラマでした。そしてそれを単なる時代劇に終わらせなかったのが結束信二

の脚本でした。結束信二は「燃えよ剣」の脚本を執筆するにあたり、原作を随分読んだ事と思います。

新選組という暗殺集団が、実は時代の流れに逆らおうとしていることを知りながら、武士としての意地

と誇りそして「名こそ惜しけれ」の言葉に凝縮された日本男子のいさぎよさにかけた人々に司馬はやさ

しい眼差しをそそいでいます。そのやさしさはこの脚本にも隅々にまでそそがれているのです。わたしはこ

のドラマを機に、以来すっかり司馬ファンとなったのでした。