幕末維新期を生きた様々な男達を活写する司馬さんお得意の短編小説集です。
「斬ってはみたが」「アームストロング砲」の9編が収録されています。
を描いています。乱暴者揃いの淨福寺党の中でも、名うての強者で命知らずの又助。尊王攘夷のためと信じ
の数々は、どことなくユーモラス。切った張ったのあげくに死亡者が出るストーリーにもかかわらず、陰惨な感じ
はしない小説です。
いています。松原は、紀州浪人・安西角右衛門を斬ってしまいます。そしていつしか、その妻お茂代と惹かれあう
仲となります。目明かしの与六が、土方歳三の密命を受けて松原の身辺を探るうち、事件の隠された真相を知
ることになります。
がて新選組隊士の浄野彦蔵が兄を斬ったと知り、脱藩して仇を討とうとします。本筋もさることながら、当時の蔵
役人の腐敗ぶりや、「風呂」と呼ばれた性風俗店の様子が興味深く描かれています。
「理心流異聞」は37年6月「文芸朝日」に掲載されました。柳剛流の剣客・平岡松月斎と、沖田総司の対決を描き
ます。勢力拡大のため、天然理心流の地盤を狙う平岡一門に対し、敢然と挑んだ沖田。しかし、脚を撃つ柳剛流
の奇法に悩まされ、決着をつけられません。そのまま浪士組に加わって京へ上り、倒幕派に与する平岡に再び
遭遇し、自ら編み出した戦法を用いて勝負します。
「倉敷の若旦那」は40年6月「オール読物」に掲載されました。志士を気取る素封家の婿養子・大橋敬之助の「義
挙」と、その結末を描いています。
便乗して代官所を襲う物語です。
「侠客万助珍談」は39年6月「オール読物」に掲載されました。侠客・鍵屋万助が、堺事件にあやかって一儲けす
る話です。
得なかった境地を描いています。
性能大砲を完成させる話です。