蹴上の乗下船の近くに蹴上インクラインがある。蹴上インクラインは疏水上流の蹴上船溜と下流の南禅寺船溜を結んだ全長約582mの傾斜鉄道で、建設当時世界最長であった。約36mの高低差を克服するために舟を台車に乗せ、ケーブルカーと同じ原理で運んだ。インクラインによって、舟は貨物の積み下ろしをせずに、高低差を乗り切ることができたのである。現在はレールが形態保存されている。インクラインの中は自由に歩くことができ観光名所となっている。インクラインから南禅寺、平安神宮、京都岡崎動物園沿いの疏水あたりは京都市内でも屈指の桜の名所であり、この時期内外の観光客で混雑する。インクラインの線路両側の桜も満開であるが、わたしどもはインクラインから南禅寺に向った。