お囃子は曳山の中で奏される緩急の変化をつけた勇壮な調べで、「ヤマの囃子」などと称されていたが、戦後に
なって「水口ばやし」と称するようになった。江戸の祭囃子の流れを汲むものとされるが、地方色も加味されてい
る。楽器は大太鼓、小太鼓、鉦、篠笛の4種で、基本的な編成は以下の通りである。
○大太鼓1人 - かつては締太鼓を用い、現在でも使用する町内が数町あるものの、鋲打太鼓が主流である。
○小太鼓2人 - 「シ」または「ヂ(ジ)」と呼ばれる一定の音を出す者と、「タマ」と呼ばれる曲によって音を変 える
者とが担当する。締太鼓を用いる。
○鉦2人 - 小太鼓同様「タマ」と「シ(ヂ)」に分かれる。鉦を膝の上に載せて揺らしながら、内側を叩く独特の奏
法を見せる。ちなみに当初は寺の伏せ鉦の脚を切断したものを使用していたという。鉦の「バイ(バチ)」は
頭(先端)部分に鹿の角、持ち手部に竹が使用されているが、最近は樹脂で作製されたものを使用していると
ころもある。
○篠笛3人 - 囃子を先導する親笛1丁と子笛2丁の3丁からなる。
曲名は町内の東西両地区で名称が異なり、曲調も小異を見せるが、両地区とも大きく曳山巡行を囃すためのも
のと奉納を目的に神前で奏されるものとに二分され、現在伝承されている曲に以下のものがある。なお、東西地
区ともに、各町ごとに微妙に違う囃子となっている。それぞれに伝承されている中で変化が生じてきたものと考え
られる。つまり、16基17町内ごとの囃子があり、決して水口ばやしは1つではない。