京・近江の写真 春夏秋冬

京、近江四季折々の自然の風景とそこに住む人々、祭り、伝統芸能の写真

愛読書1 「燃えよ剣」

イメージ 1

イメージ 2

この「司馬遼太郎の世界」は司馬さんの熱烈な一ファンとして、数多くの著作の紹介を中心に作っていき

たいと思っています。

司馬さんについて

(1923-1996)大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、

梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を一新する話題作を続々と発表。1966年に『竜馬がゆく』『国

盗り物語』で菊池寛賞を受賞したのを始め、数々の賞を受賞。1993年には文化勲章を受章。“司馬史観

とよばれる自在で明晰な歴史の見方が絶大な信頼をあつめるなか、1971年開始の『街道をゆく』などの連

載半ばにして急逝。享年72。

紹介するトップは昭和37年11月から昭和39年3月まで週刊文春に連載された「燃えよ剣」です。司馬さん

はこの小説で新選組副長土方歳三を新しい視線で捉え、魅力ある男の典型を描きました。

幕末の動乱期を、新選組副長として剣に生き、剣に死んだ男、土方歳三の華麗なまでに頑なな生涯。武州

石田村の百姓の子“バラガキのトシ”は、生来の喧嘩好きと組織作りの天性によって、浪人や百姓上りの

寄せ集めにすぎなかった新選組を、当時最強の人間集団へと作りあげ、自身も思い及ばなかった波紋を日

本の歴史に投じてゆく。司馬さんの“幕末もの”の頂点をなす長編です。

◎テレビの世界の「燃えよ剣」             

ある方が司馬さんに、お書きになった作品で一番お好きな作品はどれですかと質問されると、司馬さんは

燃えよ剣」ですとお答えになられたのは有名な話です。

わたしは京都生れですが、昭和四十三年勤務先の転勤で東京に住むようになりました。

当時東京は日本の顔として近代都市に変貌する一方、喧騒なだけの車社会を優先するような街になりつつ

あり、静かな京都で生まれ育った私にとっては住みづらい場所でした。     

そんなある日仕事に疲れて社宅に帰りますと、懐かしい京の「わらべ唄」のやさしい旋律が耳に入ってき

たのです。それはNET系列で放映しているテレビ時代劇「燃えよ剣」の、ある場面で流れているわらべ

唄でした。

島田順司の扮する沖田総司が京都の中京区にある六角堂の境内で童たちとわらべ唄を一緒に唄いながら遊

んでいるシーンでした。

その番組を知ってから都会の生活に疲れた心が癒されるようになりました。栗塚旭土方歳三、島田順司

沖田総司、舟橋元の近藤勇左右田一平斎藤一らが繰り広げる新選組隊士たちの、時代の流れに立ち

向かう苦悩や武士としての誇りや人としての夢、土方歳三新選組にかける情熱と生きざま等が生きいき

と描かれている人間ドラマでした。そしてそれを単なる時代劇に終わらせなかったのが結束信二の脚本で

した。結束信二は「燃えよ剣」の脚本を執筆するにあたり、原作を随分読んだ事と思います。新選組とい

う暗殺集団が、実は時代の流れに逆らおうとしていることを知りながら、武士としての意地と誇りそして

「名こそ惜しけれ」の言葉に凝縮された日本男子のいさぎよさにかけた人々に司馬はやさしい眼差しをそ

そいでいます。そのやさしさはこの脚本にも隅々にまでそそがれているのです。わたしはこのドラマを機

に、以来すっかり司馬ファンとなったのでした。