京・近江の写真 春夏秋冬

京、近江四季折々の自然の風景とそこに住む人々、祭り、伝統芸能の写真

薬師寺東塔その1

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奈良西ノ京薬師寺。正面から見て金堂の右にある国宝東塔は創建当初残る唯一の建物である。この塔が今年
 
から大修理される。工事に建立以後、現在まで約1300年が経過し、その間建物を保持するための修理が幾度
 
か行われてきたが、今回行われる大修理は保存と修理を目的とした解体修理で、建物を一旦すべてを解体し、
 
破損部材の取替および繕いを行うもので、弱体部を補強する構造補強財を加え、新たに組み立てる大工事であ
 
る。保存・解体修理は文化庁の指導の下、奈良県文化財保存事務所が国の事業として行い、工期は約10年を
 
要し、平成30年に修理完工予定という。
 
東塔の解体工事は、実測調査・破損調査、初層堂内における彩色調査と、東塔の保有耐震・耐風性能を把握す
 
る構造診断を行う、構造診断は、塔身および軒先等変形性状、周辺の地盤構造、地盤および東塔の振動特性、
 
構造部材の、構造部材の物性値および接合状況、固定荷重および耐震要素の把握を行い、今回の修理の構造
 
補強の基礎資料にするという。
 
東塔の構成部材は約九千点、瓦は二万枚あり、これらの部材一つ一つが貴重な情報を持っている。この解体修
 
理により、東塔の創建時から現在までの修理および構造形式の変遷が明らかになるだろうと期待されている。
 
薬師寺の白鳳伽藍は昭和43年以来当時の管長であった故高田好胤和上の発願による「般若心経」の写経勧進
 
により復興が続けられてきた。昭和51年金堂復興、昭和56年西塔復興、昭和59年中門復興、平成15年大講堂
 
復興、そして今回の東塔の解体修理である。
 
西塔復興のドキュメント映像をNHKで見て、棟梁を務めた故西岡常一(飛鳥時代から受け継がれていた寺院建
 
築の技術を後世に伝えるなど「最後の宮大工」と称された)の生き様に触れて以来、薬師寺の白鳳伽藍の復興に
 
ついては興味を持ち続け、その著書も読んできた。西岡常一は最後の宮大工といわれたが、その唯一の内弟子
 
であった小川三夫が平成の宮大工として現在活躍、白鳳伽藍の建築技術は確実に伝承されている。
 
今月その東塔の内陣が解体伊工事に先立ち創建以降初めて公開されると知り、春めく西ノ京へカメラを肩に出
 
かけたのであった。