鞍馬には「仲間」という社会組織がある
鞍馬の火祭で重要な役割をはたしているのが仲間制度である。里人はもと鞍馬寺の宗徒が多く、鞍馬寺と
の関係によって出来た世襲的な座組織であり、今は祭祀のときに活躍するが、昔(近世)は日常生活全般
に重要な役割を果たしていたと考えられている。
大惣仲間(半僧半俗で法師名を持つ家もある)。名主仲間(神職集団、ここから神主が選ばれる)。宿直
仲間(鞍馬寺の警護)。僧達仲間(寺の雑事)。大工衆仲間(寺の建築方と云われる)。太夫仲間(大惣
から分離、火祭の際に注連縄を切る)。脇仲間(商人など外来者の集団)の7つである。また、町におい
ては、地域によって町(十数軒)、それが集まった在地、という地域的な組織がある。大惣と脇は30軒
ほどあり、在地(上・中・下)ごとに3つに分かれる。代々親から子へ受け継がれた仲間組織と地域的な
在地組織が重なっていて、それらの組織が、町衆全体の祭りとしての火祭を受け継いできた。
松明を担ぐ屈強な男たちの、いずれも鞍馬山の僧兵の末裔のような表情が印象的である。