牛若丸という童謡がある。
京の五条の橋の上
大の男の弁慶は
長い薙刀振りあげて
牛若めがけて切りかかる
牛若丸は飛び退いて
待った扇を投げつけて
来い来い来いと欄干の
上へ上って手を叩く
前やうしろや右左
ここと思えば又あちら、
燕のような早業に
鬼の弁慶あやまった。
武蔵坊弁慶は毎夜京の五条の橋の上で往来する武士に立会いを申し込み、勝つと相手の刀を取り上げた。
その取り上げた刀の本数が千本となる夜、牛若丸と立ち会う羽目となり、軽くあしらわれるように負けて
しまい、牛若丸の家来になった。牛若丸はそんな弁慶を懲らしめるため毎夜毎夜京の五条大橋に現れたと
いう。牛若丸が幼き頃に鞍馬寺に預けられて、天狗を相手に武道に励み、前述のように京の五条で弁慶を
懲らしめ、奥州からやってきた金売り吉次について奥州の平泉の藤原氏をたよって、鞍馬山を抜け出し、
元服の後源義経として平家を倒したという。そんな歴史と伝説が残る鞍馬山と鞍馬寺。牛若丸が毎夜毎夜
京の五条大橋に出かけたいう伝説に首を傾げたくなる京からはるかに離れた鞍馬の深い山塊。それは歴史
と伝説が残る幽山幽谷の鞍馬山といっていい。