珪灰石の岩盤の上から境内の風景を眺めながら多宝塔の東側を少し下ると見えてくるのが鐘楼である。重要文化財である鐘楼は寺伝では源頼朝の寄進と伝わるが、細部様式などから鎌倉時代後期と考えられる。二階建てで平面は上下層とも桁行三間、梁間二間で、上層には縁がまわされる。下層は白漆喰塗りの袴腰、上層は東西中央に扉があり、それ以外は連子窓である。内部には銘が無いが、平安時代とみられる梵鐘(重要文化財)が吊られている。下層から撞木を引いて撞く珍しい作りである。屋根は入母屋造で檜皮葺きである。鐘楼の前から境内に下る石段を降りてゆくと珪灰石の岩盤に無数のきらきらしたものが目に入ってきた。参拝客が岩盤に張り付けるようにして置いてゆくお賽銭であった。