城のすぐそばにある「津軽藩ねぷた村」という観光施設の駐車場に車を停めて城のお堀端に沿ってしばらく歩き、北門口から城内に入った。周囲は弘前公園として美しく整備されており、公園の中に中堀、内堀があり、内堀の中の本丸に天守がある。本来は本丸の南東角に建っている天守であるが、天守を支える石垣の100年ぶりの大規模修理のために天守は本丸の中央よりに移動(70m)されている。建物をそのままの姿で傷つけずに移動する技術を曳家工事といい、何年か前にこの天守の曳家工事の様子をNHKの番組で紹介していたことを思い出す。現在の天守(創建当時の天守は寛永4年(1627)に落雷により焼失)は文化7年(1810)に蝦夷地警備の功績を認められた九代藩主津軽寧親(やすちか)が隅櫓の改築を理由に天守再建に着工し、翌8年に完成したもので、江戸時代に再建された天守としては、東北地方に現存する唯一のもので、重要文化財に指定されている。