正式名称は「円通三匝堂(えんつうさんそうどう)」という。(重要文化財指定名称は「旧正宗寺三匝堂」)当時飯盛
山には正宗寺(しょうそうじ)というお寺があり、その住職であった僧郁堂(いくどう)の考案した建物である。かつて
はその独特な2重螺旋のスロープに沿って西国三十三観音像が安置され、参拝者はこのお堂をお参りすること
で三十三観音参りができるといわれていた。また、上りと下りが全く別の通路になっている一方通行の構造によ
り、たくさんの参拝者がすれ違うこと無く安全にお参りできるという世界にも珍しい建築様式を採用したことで、建
築史上その特異な存在が認められ、平成8年に国重要文化財に指定された。 外観はまさにさざえを思い起こさ
せる様相である。お堂の入り口で手を合わせ堂内に一歩踏み込むと不思議な空間に誘われる。この複雑な内
部構造がすべて木組みで造られていることに驚嘆し、江戸時代の建築技術の水準の高さに改めて思い知らされ
た次第である。