日一往復、SL「やまぐち号」が煙と蒸気を吐きながらはやてのように走りぬける。
天気の良さに背を押されるように旅館を後にして津和野の町を見下ろす太鼓谷の峰に建つ太鼓谷稲成神社に
詣でる。太鼓谷稲成神社、旧社格は郷社。通称「津和野おいなりさん」。全国で唯一「いなり」を「稲成」と表記す
るとされる。安永2年(1773年)、津和野藩7代藩主亀井矩貞が、藩の領民安寧のために京都の伏見稲荷大社か
ら勧請を受け、三本松城(津和野城)の鬼門に当たる太皷谷の峰に社を創建したのに始まる。以降、歴代藩主
の崇敬を受け、廃藩後は庶民も参拝できるようになり、中国地方有数の稲荷神社となった。現在は「日本五大稲
社の朱色が朝日に映えてまことにきらびやかで、神社から眺めた津和野の町も箱庭を見るように美しく静かな城