京・近江の写真 春夏秋冬

京、近江四季折々の自然の風景とそこに住む人々、祭り、伝統芸能の写真

日高昆布の里

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北海道洞爺湖に住む娘を訪ねて一人で出かけたのが3ヶ月前の6月、その初夏の北海道を北の大地シリーズ
 
(初夏の北海道)でご紹介したが、今回また静岡に住む上の娘に付き合う形で初秋の北海道道南を訪ねることと
 
なった。前回は娘の車を借りて道南各地を回ったが、今回はレンタカーで道南を回り、最後の日に洞爺湖の娘を
 
訪ねることになった。まず新千歳空港でレンタカーを借りて国道を235号線を通って一路襟裳岬に向かう。国道
 
235号線は室蘭市から浦河郡浦河町に至る一般国道である。途中長い海岸線に沿って走る日高地方は「日高
 
昆布」で有名であり、海岸で昆布を干す風景が視界に飛び込んでくる。昆布漁は7月から今月の彼岸ごろまでが
 
最盛期であり、今が最後の追い込みといったところであろう。
 
昆布は生育する場所により、さまざまな種類に分かれるが生育する環境が昆布のいろいろな区分に影響するた
 
め、産地が銘柄となる。昆布の国内生産量はほとんどが北海道から採取されており、全体のほぼ95%に相当す
 
る。青森、岩手、宮城県の東北3県では5%前後となっているという。昆布は、日本では14属45種あり、全世界で
 
は、北半球に26属、南半球に9属生育している。寒流系の褐藻類である昆布は、日本では宮城県以北の太平洋
 
岸と北海道全域に分布し、とくに北海道が主産地となっている。昆布の種類は「真昆布ー最も代表的な良質の
 
昆布。肉厚があり幅も広い。函館を中心とした噴火湾が産地」「利尻昆布ー甘みもあり、真昆布に比べ、塩味が
 
あり硬い感じがする。特に京都の会席料理に好んで使用される。産地は利尻、宗谷岬を中心としたオホーツク
 
海沿岸」「羅臼昆布ーだし汁がにごるという特徴があるが、香りがよくやわらかく黄色味を帯びた濃厚でこくのあ
 
るだしがとれる。そのだしのおいしさから、「だしの王様」とも呼ばれている。 産地は知床半島根室側(国後島
 
側)沿岸のみに生息」そして日高昆布である。
 
日高昆布は柔らかくて煮えやすく、味も良いので、いろいろな用途に使える万能昆布という。日高昆布漁は7月
 
中旬から8月中旬を目処に、早い地区では7月1日から始まり、終漁は遅い地区で10月末日まで採取される。採
 
取方法は、L字型の鉤棹(カギザオ)で採取することが多く、水深のある漁場では、これも同じく捩り棹(ネジリサ
 
オ)を使用し採取する。日高地区は道東に比べ比較的、水深の浅いところが多いため棹の長さは短めのものが
 
殆どという。この他にも、通常の舟で採取する漁法以外に、時化などの影響で抜けた昆布を拾い集める「拾い昆
 
布漁」も、日高地区では最も盛んに行われている地域という。
 
昆布の水揚げ場所から車で運ばれてきた昆布は海岸に敷かれた玉石の干場で天日干される。天気がいいと一
 
日で干し上がるという。昆布干しの風景は夏の風物詩である。最初の乾燥が終わった昆布は、ビニールシートに
 
包み、通称「小屋」と言われる昆布倉庫に入れ保管される。この保管は、庵蒸(あんじょう)と言われ、これにより
 
昆布独特のあの黒い色が醸し出される。頃合いを見計らって一度露にあて昆布をほんの少し柔らかくして、3尺
 
5寸(105センチ)に切りそろえて結束してまた小屋で寝かせる。
 
昆布干しの風景は組合等が中心とした大勢の人々や家族だけの少人数で作業する様子があちこちの海岸で繰
 
り広げられていた。
 
この昆布干しの風景から初秋の北海道の写真紀行を始めたい。