オホーツクラインを南下すると雄大な景色が次々広がってゆく。
青々とした牧草地でのんびりと牛たちが草を食む、遠くには牛舎、そして背の高いサイロが並ぶ・・・.これが「酪
農王国・北海道」の典型的な風景であった。だが飼料づくりが進化した現在、サイロはほとんど使われず、牧草
はポリシートで包まれたロール型の塊( ベール)として保管されている。かつては牧草を圧縮してなるべく酸素に
触れないように貯蔵して、もともと草についている乳酸菌による発酵を促し、いわば牧草“ 漬物”(サイレージ)に
加工するための貯蔵設備としてサイロが発達したのであるが、現在は機械化され、サイレージを作る作業も劇的
に変化した。牧草をサイロまで運ぶ必要はなく、その場でロール型の牧草をポリシートでラップし外気を遮断する
と、約40 日後には良質のサイレージができ上がるのである。いまやサイロに替わって牧草地にラップされたサイ
レージが点在する風景が酪農王国北海道の風景なのである。