京・近江の写真 春夏秋冬

京、近江四季折々の自然の風景とそこに住む人々、祭り、伝統芸能の写真

羽幌・天塩からサロベツ原野へ


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天売島、焼尻島は羽幌(はぼろ)町に属し、両島への連絡船は羽幌港から出ている。羽幌から天塩と、天売島、

焼尻島を車窓から眺めながらオロロンラインをさらに北上する。天塩町は北海道内第2位の長さで北海道遺産の

大河である天塩川の河口に位置する。天塩川河口は、サロベツ原野にかけて長く発達した砂嘴(浜堤)によって

形成された天然の防波堤(この部分は幌延町に属する)により非常に良港であったこと、海山の豊富な天然資

源に恵まれていたことから、古くからアイヌ人等によってコタン(集落)が築かれ、泊地及び交易の要衝地となっ

た。江戸時代初期に和人(松前藩)が進出してくると、アイヌ人と和人との交易地となり、後に和人によってテシホ

場所(番所)が置かれた。天塩町に近づくといつの間にやら車窓から天売島、焼尻島の島影はは消え、利尻富

士と利尻昆布で有名な利尻島の島影が視界に飛び込んできた。天塩川は海岸に近づくと大きく南に方向を変

え、5キロほど海岸線と並行して流れ、天塩港で海に注ぐ。天塩川を渡ったオロロンラインは海岸線と天塩川

河川敷に挟まれた狭い土地を北上する。なおしばらく走ると約3㎞先に立ち並ぶ無数の白い塔が視野に飛び込

んできた。アイヌ語「浜にある道」にちなむ「オトンルイ風力発電所」の巨大風車である。3.1キロにわたって28基

ある風車の眺めは実に壮観である。1基の高さが、直径50.5mあるローター含めて最高99m(支柱[ハブ]だけで74

m)もある巨大なもので、この風力発電所は、年間を通じて安定した風があることや広大な土地があることなど条

件に合うとして、2000年10月設立の幌延風力発電株式会社が2001年4月に着工、同年末以降の試運転を経て

2003年2月に本格動を開始したという。オランダ・RAGAWAY社から取り寄せた風車は、1基あたり750キロワット、

かける28基で、合計最大21,000キロワットを発電できる。ここから北海道電力幌延変電所まで約17㎞の特別高

圧線(送電線)で年間約5,000万キロワットを送電しているという。途中にあるサロベツ原野駐車公園で車を降りて

写真を撮る。

巨体風車に見送られてなお進むとサロベツ原野が広がる。湿原の規模は200平方kmにも及ぶ広大なものであ

る。2005年11月8日にはラムサール条約に登録された。サロベツの地名はアイヌ語の「サル・オ・ペツ」(アシの生

える川)に由来する。上サロベツ原野と下サロベツ原野に分かれ、後者は利尻礼文サロベツ国立公園の特別保

護地区であり、ペンケ沼、パンケ沼といった沼地が点在する。泥炭性の低湿地であり、海岸砂丘とその背後にあ

る宗谷丘陵によって阻まれた潟湖が、泥炭による長い堆積作用によって形成された。また、国指定サロベツ

獣保護区(集団渡来地)に指定されている(面積2,560ha、全域が特別保護地区)。

まことに雄大な風景でありもう少し時間を取りたいところであるが、わたしどもは稚内のノシャップ岬の落日を見

なければならない。後ろ髪を引かれる思いでサロベツ原野を後にしたのであった。