京・近江の写真 春夏秋冬

京、近江四季折々の自然の風景とそこに住む人々、祭り、伝統芸能の写真

初夏の古都(音羽の滝)

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舞台の下、青葉に包まれながら歩を進めると突然人影とざわめきが多くなり、「音羽の滝}の前に出る。
 
清水寺の寺名の由来となった音羽の滝。京都には今でも数々の名水がある。京都の市街地の北から日本海
 
続く北山山地の分水嶺から南の水は、川となって、或いは地下水となって京都の市街地へ流れる。音羽の滝
 
この地下伏流水が東山連峰の断層の割れ目から吹き出た水に清水寺の裏山、音羽山の雨の水が加わって滝
 
となって流れ落ちている。昔からとぎれることもない清水は「金色水」、「延命水」とも呼ばれて ”清め”の水として
 
尊ばれ、開祖行叡居士・開山延鎮上人の滝行を今に伝えて水垢離(みずごり)の行場となり、またお茶の水汲み
 
場として続いている。
 
行列を作る参詣者は長い柄の柄杓を使って滝の水を飲む。三本の滝は向かって左から「学問上達の水」「恋愛
 
成就の水」右が「延命長寿の水」とされている。三つのうちの一つだけを選んで一口だけ飲む。欲張って二口飲
 
むとご利益が半分に、三口飲むとご利益が三分の一になってしまうという。また三本の滝水とも飲むと全ての願
 
い事も叶わなくなってしまうといわれている。
 
多くの参拝客というより観光客が列を作って順番待ちして滝の水を飲む。見ているとやはり子供たちは左の「学
 
問上達の水」を飲み、若い女性たちは」「恋愛成就の水」を飲み、年配者は「延命長寿の水」を飲んでいるのが多
 
いようだ。三つの滝が落ちる場所には水垢離の行者が立つ敷石が置かれている。子供の頃滝に打たれる行者を
 
見たことがあるが水量は少ないとはいえ、落差があるから水が結構身体に激しく当たっていたのを覚えている。
 
京都盆地の水脈について興味ある文章をインターネットで見つけましたのでご紹介します。
 
京都盆地は古来より地下水の利用が盛んな地域です。それは平安京の時代から今も変わりません。現在、京
 
都盆地ではどれくらいの地下水が利用されているのか、正確な資料はありませんが、その用途は上水道、農
 
業、工業をはじめ飲食、酒造り、豆腐造り、友禅、茶道など多岐にわたります。また、京都市内には堀川、清水、
 
出水、泉殿、小川、河原町、御池、今出川、川端、白川、泉川など水に関係する地名が多いことに気づきます。
 
清水寺には音羽の滝があります。これは東山からわき出ている地下水で、1200年以上にわたってわき出ていま
 
す。京都は、水にまつわる文化を1200年の間はぐくんできました。
 
 なぜ京都盆地には地下水が豊富に存在するのでしょうか?もともと盆地は地形的に地下水が豊富で、長野県
 
安曇野福井県大野、神奈川県秦野なども代表的な例としてあげられます。しかし京都盆地は、盆地の大きさも
 
さることながら、地下水の賦存量は他を圧倒しています。京都盆地は南北約33km、東西約12kmの縦に長い形
 
をしており、地質は上から約3万年前に薄くたい積した沖積層、約150万~500万年前にたい積した洪積層、約1
 
億~1億5千万年前にたい積し岩盤から成る古生層が分布しています。地下水は主に沖積層、洪積層の砂れき
 
層に多く包蔵されています。
 
 その南北方向(堀川通)の地下の様子は、京都市消防局防災対策室(現・防災危機管理室)が人工的に地震
 
を起こして活断層を探る反射法地震探査を用いて行った図のとおりで、岩盤までいちばん深い場所は巨椋池
 
(宇治の辺りにあった大きな池で、埋め立てられて今はない)付近で約800m、その上に砂れき層は何層にも分
 
布していることがわかります。また、京都盆地に入ってきた地下水が流れ出る個所は桂川宇治川、木津川の3
 
川が合流する幅約1kmの天王山―男山辺りです。天王山と男山は同じ古生層から成り、地下わずか30mのとこ
 
ろでつながっています。すなわち幅約1kmの天然の地下ダムが存在しているのです。
 
 私は、ほかの地震探査資料、重力探査資料、約8000本のボーリング資料から、京都盆地の地下水賦存量を
 
計算した結果、約211億トンとなりました。琵琶湖が約275億トンですから、京都盆地の地下には、琵琶湖に匹敵
 
する水量の地下水が存在していることになり、しかも天然の地下ダムによってほんのわずかな量しか流れ出さ
 
ないため、京都盆地には多量の地下水が貯留されていることになります。このように、自然の作用によって形造
 
られた地下水の豊富な京都盆地を、私は「京都水盆」と名づけることにしました。」    2009.10.22
               
                関西大学学長 楠見晴重氏 関西大学HP「京の水脈シリーズ第1回 京都水盆」から