中金堂は平成30年に復元されたばかりであり、建物の朱色はその鮮やかを周囲に放ち、南西方向に目を向ければ五重塔の甍が目に飛び込んでくる。塔の傍で重機が鉄材を塔の上方に吊り上げ作業を行っていた。興福寺五重塔は明治時代以来120年ぶりとなる大規模な保存修理工事を実施を始めたのである。工事は屋根瓦の葺き替え修理、木部の修理、漆喰壁の塗り直しなどが行われる予定にて、現在保存修理工事に先立ち、工事用の覆屋(素屋根)の建設を、昨年年7月から着工している。素屋根が完成すると本格的な工事に着手する予定で、当面の間五重塔の姿を見ることが出来なくなる。保存修理工事の終了は令和13年(2031)の予定。