二人の禿(かむろ)が降り立つと周囲にざわめきが起こりいよいよ稚児が降りてくる。稚児は屈強の強力が肩に
担いで降りてくるのだが、担いでから正面に向いて立つと、その凛とした姿に周囲から割れんばかりの拍手と歓
長刀鉾の稚児-唯一の生稚児(いきちご) 祇園祭は7/1の吉符入(きっぷい)り(神事始め)に始まり、1ヶ月間
に渡り繰り広げられる。一般には17日の山鉾巡行が知られ、現在、32基の山と鉾が勢揃いする。中でも、長刀
鉾は天を突くようにかざす三条小鍛冶宗近作の長刀を特徴としている。長刀鉾は毎年巡行の先頭を行く“くじと
らず”の鉾で、選ばれた生稚児が禿(かむろ)と共に搭乗する。かつては船鉾を除いた全ての鉾に稚児が載って
いたが、今では生稚児が搭乗するのは長刀鉾だけである。天明の大火(1788)で壊滅的な被害を受けた函谷鉾
が天保10年(1839)に復興する際、稚児人形を用いたのをきっかけに、他の鉾もそれにならい人形に替えていっ
たという。
地上に降り立つと禿同様ようやく子供らしい笑みがこぼれ、マスコミのインタビューにしっかりとした口調で答えて
いた。