京・近江の写真 春夏秋冬

京、近江四季折々の自然の風景とそこに住む人々、祭り、伝統芸能の写真

二月堂へ

      

      

鹿の姿も見受ける二月堂の参道をゆく。参道の両側には修二会の人混みに対処するため竹矢来が続く。広場に出ると驚いた。まだ四時過ぎで大松明の点火時間まで三時間もあるのにこの行列である。そそくさと最後尾に付く。毎年来慣れている人たちは折り畳みの小さな椅子や尻に敷くシ-ト、段ボールの切れ端等用意してきている。五時過ぎようやく列が動き、お堂の下の階段状の芝生に案内された。まだ二時間もある。

東大寺二月堂は奈良県奈良市東大寺にある、奈良時代(8世紀)創建の仏堂。現存する建物は1669年の再建で、日本の国宝に指定されている。二月堂は、東大寺金堂(大仏殿)の東方、坂道を上り詰めた丘陵部に位置する、十一面観音を本尊とする仏堂である。すぐ南には三月堂の通称で知られる法華堂がある。これらの堂が所在する一画を「上院」(じょういん)と称し、大仏開眼以前から存在した、東大寺の前身寺院があった場所である。東大寺は治承4年(1180年)の平重衡の兵火と、永禄10年(1567年)の三好・松永の兵乱とにより創建時の建物の大部分を失っている。二月堂はこれらの兵火では類焼をまぬがれたが、寛文7年(1667年)、修二会の満行に近い2月13日に失火で焼失。現存する二月堂はその直後の寛文9年(1669年)、江戸幕府の援助を得て、従前の規模・形式を踏襲して再建されたものである。奈良の早春の風物詩である「お水取り」の行事が行われる建物として知られる。「お水取り」は正式には修二会といい、8世紀から連綿と継続されている宗教行事である。二月堂は修二会の行事用の建物に特化した特異な空間構成をもち、17世紀の再建ながら、修二会の作法や習俗ともども、中世の雰囲気を色濃く残している。修二会は大仏開眼供養と同年の天平勝宝4年(752年)に初めて行われたとされ、二月堂の創建もこの時とされる。