京・近江の写真 春夏秋冬

京、近江四季折々の自然の風景とそこに住む人々、祭り、伝統芸能の写真

古都の秋(八坂神社から清水寺へ)その8

      

      

清水の舞台から谷を隔てて見える塔が子安塔(こやすのとう、重要文化財)である。子安塔は、聖武天皇光明皇后の祈願所と伝えられているが、その創建時期は不明。現在の建物は、1500年(明応9年)の再建で高さ約15メートルの三重塔(重文)。明治期までは仁王門の左手前にあったが、1911年(明治44年)に現在地に移された。堂内には子安観音(千手観音)が安置され、安産の神として信仰を集めてきた。産寧坂(三年坂)は、子安観音へ祈願するための参道であったという。1159年(平治元年)、源義朝が「平治の乱」で平清盛に敗れると、側室である常盤御前が三人の子(今若(阿野全成)、乙若(源義円)、牛若(源義経))を連れて幼少の頃より信仰していた清水寺に参り、千手観音に三人の子の無事を祈願した。その後、大和国へ逃れていったという。常盤が祈願したのは、子安塔に安置されている千手観音だと伝えられ、『平治物語』には、常盤と三人の子が助けられたのは清水観音の力によるもので、源頼朝が死罪を免れて伊豆蛭ヶ小島流罪となったのは八幡大菩薩石清水八幡宮)の力によるものだと述べられている。子安塔からは、西門、三重塔、経堂、開山堂、轟門、朝倉堂、回廊、本堂までがずらりと並ぶ見事な景観が楽しめる。現在見ることのできる子安塔は1500年(明応9年室町時代)の再建されたものを基本として2013年(平成25年)に修復された