京・近江の写真 春夏秋冬

京、近江四季折々の自然の風景とそこに住む人々、祭り、伝統芸能の写真

庚申山広徳寺(こうしんさんこうとくじ)の秋その1  

        

庚申山広徳寺(こうしんさんこうとくじ)は甲賀市水口町山上にある、今から1200年も余り前に最澄が開いたお寺で、真鍮製造の始まりとなった伝説に由来して、各地から参拝者が訪れるという。庚申山頂からは甲賀郡内を眺望できる。秋には山全体が紅葉で覆われ、紅葉の名所となっている。真鍮の開祖として「庚申さん」と銅業関係者や地元の人々に親しみを持って呼ばれているという。庚申山麓に籐左衛門という貧農が住んでおり、生計が苦しく郷を離れる決心をしたが、本尊を深く信仰していたのでおすがりする決心をし、文禄2年(1593)正月廣徳寺にこもり、断食し家運の隆盛を祈願したところ、 17日の満願の夜、銅に亜鉛を混ぜる合金の法を伝授されたという。慶長4年(1599)籐左衛門は京都に上がり、冶工となってその鋳法を試みた処、黄金色の光沢をした合金を得ることに成功した。これが我国における真鍮精練の始まりと言われいる。本堂の壁に数多くぶら下がっているものは「くくり猿」という御守であり、くくり猿は手足をくくられて動けなくなったお猿である。欲望のままに行動するお猿を動けなくして、欲に走らないように、欲を捨てるように人間を戒めているという。この教えを庚申信仰といい、全国の庚申信仰の寺やお堂ではこのくくり猿がお守りとして奉納され、また販売されている。京都東山にある八坂庚申堂が有名。