金勝寺は、金勝山の山中にあり、静寂なたたずまいを見せる古刹。時の権力者や将軍が詣でたといわれ、千年という歴史の重みや深さを感じる天台宗の寺である。また、栗東八景の「夏清の幽玄」として、境内は春の新緑、夏の涼、秋の紅葉、冬の暮雪として一年を通じて美しい景色が楽しめる寺である。この古刹は、天平5年(733年)聖武天皇の勅願によって良弁が開基したものであるが、寺院としては平安時代初期に願安によって整備されたという。平城京の北東(鬼門)の方角に位置し、奈良の都を正面に向けて建てられた。中世には湖南仏教の中心として栄え、全盛期には金胎寺、安養寺など、25の別院があったという。「金勝寺の大杉」(良弁杉とも伝わる)といわれる苔むした樹齢800年あまりの大杉の、その杉木立の間に見え隠れする本堂、二月堂・・・あらためて青葉の生い茂る夏や紅葉に映える秋の仁王門を訪ねてみたいと思う。