坂本城は琵琶湖の南湖西側にあり、大津市の北郊に位置する。西側には比叡山の山脈があり、東側は琵琶湖に面していることから天然の要害を具えた地であった。比叡山は近江国と山城国にまたがっており、白鳥道と山中道の2つの道は両国を結ぶ道路が通じており、中世、近世において頻繁に利用され、比叡山の物資輸送のために港町として、坂本は交通の要所として繁栄していた。現在城郭跡地の大半は市街地化され、推定地の中央には国道161号が貫通している。
1571年(元亀2年)、比叡山焼き討ちの後、明智光秀に近江国滋賀郡が与えられ、織田信長の命によって京と比叡山の抑えとして築城した。宣教師ルイス・フロイスの著書『日本史』では、安土城につぐ天下第二の城と評されるほどの豪壮華麗なものであったという。