百済寺一山の本坊である喜見院は阿弥陀如来をお祀りしている。その喜見院の庭園、本坊庭園は東の山を借景に山腹を利用し、大きな池と変化に富む巨岩を配した豪華な池泉廻遊式ならびに観賞式の庭園で鈍穴流(幕末から明治前期の作庭家、勝元鈍穴の作庭流派、近江国出身)の作法で作庭されている。とくに聖徳太子の願文に「一宿を経るの輩は必ず一浄土に生る」とあるが、これにちなんでこの庭も東の山には弥陀観音勢至の三尊時のをはじめ各菩薩に見たてて石を配してあるという。これらの巨石は旧本坊庭園とさらに百済寺山内の谷川から集められたものを組み合せて作庭されている。
喜見院の縁側に腰を降ろし、新緑に映えた池のさざ波を眺めていると静けさが心に沁みてくる。