本堂の右手には浄土庭園と呼ばれる庭園が広がる。浄土庭園とは仏堂と苑池とが一体として配された庭園で、
毛越寺では北に塔山と呼ばれる小山を背景として、広々とした苑地美観が展開されている。大泉が池は浄水を
たたえ、その周辺には、州浜、荒磯風の水分け、浪返しにあたる立石、枯山水風の築山といった石組みや、池に
水を引き入れる遣水など、自然の景観が表されている。日本最古の作庭書「作庭記」の思想や技法を今に伝え
る貴重な庭園として、800有余年を経た現在も、四囲の樹木の景観と相まって、なお変わらぬ美しさを見せてい
た。