曼殊院門跡は京都市左京区一乗寺にある天台宗の寺院である。本尊は阿弥陀如来、開祖は是算(ぜさん)である。門跡寺院とは皇族、貴族の子弟が代々住持となる別格寺院のことであり、曼殊院は青蓮院、三千院、妙法院、毘沙門堂と並び、天台五門跡のひとつに数えられる。国宝の黄不動画像や曼殊院本古今和歌集をはじめ多くの文化財を有する。狸谷山不動院の近くであり、立ち寄ってみた。
拝観入口である北通用門から、庫裡に入る。庫裡の入り口には「媚竈」(びそう)と書かれた扁額が架かっている。孔子の言葉というが誰に媚をうつのだろうか。庫裡の中は撮影禁止となっているため写真は紹介できないが、庫裡の天井の黒く煤けた梁や柱は立派なものである。内部にはおくどさん(竈ーかまど)や数多くの朱塗りの什器が展示されていた。庫裡を抜けると大書院があり、遠州好みの枯山水大きな庭園が広がっていた。水の流れをあらわした砂の中に鶴島と亀島が配置されている。鶴島にある樹齢400年の五葉松は鶴を表現している。