石段を登りきると大きくそびえる巨大な建物が目に飛び込んできた。清水の舞台のようなその建物は御本尊が安置されている清水の舞台と瓜二つの本殿で、清水の舞台と同じ懸崖造り(けんがいづくり)で、建てられている。その歴史は享保3(1718)年にまで遡るとされ、本尊が安置されている洞窟を囲むような形で建てられている。「狸谷山不動院」は桓武天皇が平安京の鬼門守護として『咜怒鬼(たぬき)不動明王』をこの地に祀ったのが起こりとされている。鬼をも叱ると言わしめる程の厳しい表情をしている不動明王は悪霊・難病退散や交通安全にも霊験あらたかとされている。また、たぬきが”他を抜く”というところからスポーツ選手や芸能人などにも信仰を集めている。本殿に登ってゆく参道の途中には宮本武蔵が心の剣をみがいたといわれる武蔵之滝があり小さな不動明王の像が糸のような細い滝に打たれていた。本堂の柱にはがん封じや病気平癒の願かけの札が数多く取り付けられている。