ンとは天売島に住むオロロン(ウミガラスの別名)にちなんだものである。なお天売島(てうりとう)とは北海道留
焼尻島とともに羽幌町に属している。面積5.50km2、周囲約12㎞、人口は377人(平成22年4月現在)。島の名は、
アイヌ語の「テウレ」(魚の背腸)、もしくは「チュウレ」(足)に由来すると言われている。オロロンラインは石狩から
ともいう。にしんは産卵場や産卵期、回遊範囲などが異なる多くの系群に分けられ、なかでも北海道日本海側、
下旬~5月上旬には、にしんの通り道に網を仕掛ける刺し網漁が行われる。1897年、北海道において97万トンの
漁獲量をピークに次第に減少し、1950年代後半には幻の魚と呼ばれるまでになったにしん。にしん漁は明治時
代、小樽や石狩の経済基盤を築いたと言われるほど大規模な産業で、人を集め、町を栄えさせた歴史を持つ。
幻の魚となる直前の1953年でさえ、石狩振興局管内における漁獲の87%はにしんが占め、後の劇的な漁獲量の
減少は人々の生活に甚大な影響を与えた。そのため地域では漁業の再繁栄が強く望まれ、1996年、石狩振興
局はにしんの資源増大対策の一環として、16万尾の稚魚放流を実施。これを筆頭に、現在では北海道内の各
地区で年間200万尾以上の稚魚が放流されているという。こうした努力が実り、近年は約半世紀以来の群来(に
しんが大群で産卵することによって、雄の精子で海が白く濁る現象)がもたらされるまでになった。しかし、年によ
る水揚量の変動はまだ大きく、漁師は資源を枯渇させた歴史を繰り返さないため、漁獲規制による資源保護に
も力を注いでいるという。