奥嵯峨の小倉山の懐に抱かれたようにある「あだし野念仏寺」で毎年8月23、24日に行われる千灯供養。
「あだしの」は「化野」と記す。「あだし」とははかない、むなしいとの意で、又「化」の字は「生」が化して「死」とな
り、この世に再び生まれ化る事や、極楽浄土に往来する願いなどを意図している。平安から鎌倉時代にかけ繰
り返された戦乱や疫病で、人の命ははかなく、この地は東の鳥辺野、北の蓮台野とともに西の化野(あだしの)と
して風葬の地であったといわれる。境内に奉る多くの石仏・石塔は往古あだしの一帯に葬られた人々のお墓であ
り、何百年という歳月を経て無縁仏と化し、あだしのの山野に散乱埋没していた。明治中期に地元の人々の協力
を得て集め、釈尊宝塔説法を聴く人々になぞらえ配列安祀してある。賽の河原に模して「西院の河原」と名付け
られた。千灯供養とは、毎年8月23日・24日に、念仏寺境内の西院の河原にまつられている数千体の無縁仏に
ろうそくを灯し、供養する。
り火も終わったこの時期、嵯峨野一帯はまだまだ残暑厳しく、千灯供養は午後6時から行われるが、晩夏の嵯峨
野の風景を写真に撮りたくて早い目に嵯峨野を訪れたのであった。