それはもう長襦袢というものではない。金糸による刺繍の縫い取りの豪華なものもあれば、現代的な図案
を凝らしたものもある。女の子に聞いてみると自分で縫い上げたという。おそらく母親の手ほどきを受け
て縫ったに違いない。肩から掛けるようにして着る長襦袢だから基本的な和裁の縫い方が出来れば縫える
のだろう。中には大人の長襦袢を子供用に仕立て直したものや振袖を仕立て直したものもあるに違いな
い。
男の子は祖父、父親、兄たちの祭りの勇ましい姿を見て育ち、女の子は長襦袢を縫い上げる祖母や母親の
姿を見て育ってきた。何年も何十年も何百年も・・・それが伝統というものであろう。