京・近江の写真 春夏秋冬

京、近江四季折々の自然の風景とそこに住む人々、祭り、伝統芸能の写真

炎 その3

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

イメージ 6

イメージ 7

イメージ 8

暗闇の中に人々のどよめきとともに小さな松明の炎をにじむように浮かび上がると、光の輪が次第に近づ

いてきた。「サイレイヤ、サイリョウ」(祭礼や、祭礼の意)とかけ合うかわいい子供たちのかけ声が次

第に大きくなるとともに、松明を担ぐ子供たちの姿が明るく照らし出された。街道の右からも左からも松

明を担ぐ子供たちが現れ、集落を練る歩く。松明を担ぐ小さな子供には大きな子供たちが手を貸し、さら

に大人たちが介添えをする。いたいけな幼児は母親に抱かれて練り歩きに参加する。ときに松明の炎がは

じけ、火の粉が飛ぶと子供たちのかけ声とともに周囲の群衆からどよめきの輪が広がる。

「サイレイヤ、サイリョウ」「サイレイヤ、サイリョウ」「サイレイヤ、サイリョウ」・・・鞍馬山の烏

天狗は幼少の牛若丸に剣を教えたともいわれている。 ... そのモデルは大天狗同様、山伏や修験者など

の山に住む修行者であったとか、山岳民族であったともいわれており、そういった山に住む人々に自然の

猛威や山賊・盗賊の恐怖を重ねたものが烏天狗であると考えられてきた。京や鞍馬の山里の安寧と鎮魂、

豊穣なる山の幸に対する恵みの感謝のため、烏天狗たちの末裔により連綿と続けられてきたこの集落の千

年の祭りの重さと確かさの歴史をこの「サイレイヤ、サイリョウ」のかけ声に感じるのは小生だけではあ

るまい。

親が子に引継ぎ、その子にまた引き継がれ、松明の炎に磨き上げられたような「サイレイヤ、サイリョ

ウ」のかけ声はいつまでも鞍馬山の山塊に響き渡るのであった。