昨年10月NHKで放映された「映像詩 里山」。
田んぼ、小川、雑木林・・・。人と自然が共にくらしてきた「里山」「里地」は、身近で、なつかしい、
そしてかけがえのない日本の自然。テーマは「水」。水と密接な関わりをもつ人と生きもの世界を、斬新
かつ美しい映像で描かれ多くの視聴者に感動を与え、テレビドキュメンタリ-としてイタリア賞を獲得し
た。
舞台は滋賀県北部。琵琶湖に近い集落では、家の中に湧き水を取り入れた、「カバタ」と呼ばれる独特の
しくみが今も残り、人々は、湧き水を日々の生活に利用している。人が使った水の流れは、魚やトンボ、
カエル、水鳥など、多くの生きものを育みながら、湖へと下る。
湖畔には豊かなヨシ原が広がり、コイやフナなど、多くの魚たちが産卵のために集まってくる。その魚を
狙って、昔ながらの木の舟を使った伝統漁が営まれている。
見どころは、2年近くをかけて撮影に成功した凝った映像の数々。ヨシノボリと漁師との出会いや、花火
を見るカエル、大迫力のコイの産卵など。心のふるさとの風景を描いた珠玉の映像詩。
この作品が撮影された滋賀県高島市新旭町の針江生水の郷(しょうずのさと)はその後多くの観光客が押し
寄せるようになったため、今年2月地元のボランティアが中心となって里山水辺ツアーを立ち上げた。
ツアーに参加して、水を大切にして水とともに生きる地元民の話を聞き、その姿を見て、水の大切さと自
然環境の保全について改めて知らされた有意義な半日であった。