京・近江の写真 春夏秋冬

京、近江四季折々の自然の風景とそこに住む人々、祭り、伝統芸能の写真

美瑛の青い池その1

      

      

      

富良野の田園地帯を抜けて美瑛に向かう。今回の旅行で一番訪れたかった場所、「青い池」である。途中万年雪を被った十勝岳雄大な山稜を見ながら十勝岳山麓に入ってゆく。青い池は美瑛町の東南部、美瑛川左岸の標高約500メートルに位置しており、十勝岳の麓に湧く白金温泉から
約2.5キロ北西の地点にある。この池は1988年(昭和63年)12月に噴火した十勝岳の堆積物による火山泥流災害を防ぐため、美瑛川本流に複数建設された堰堤のひとつに水が溜まったものである。美瑛川を横切る形で施工され、本流から離れた両岸の森林内部まで堰堤が造られた結果、美瑛川左岸側のブロック堰堤に水が溜まるようになり、周囲に自生していたカラマツ、白樺等の樹木は、水没し立ち枯れた。したがって、目的を持って造られた溜池や貯水池などとは異なり、青い池は偶発的に人造池となったものである。この付近の湧水には水酸化アルミニウムなど、主に白色系の微粒子が含まれており、美瑛川本流の水と混ざることによって分散され一種のコロイドが生成される。水中に差し込んだ太陽光がコロイドの粒子と衝突散乱して水の吸収による青色の透過光が加わり、美しい青色に見えると言われている。水の青さと立ち枯れた木々の幻想的な景観から、その存在がカメラマン等を中心に口コミで広がり、いつの頃から誰からともなく「青い池」と呼ばれるようになったという。火山泥流災害を防ぐために建設された堰堤で周囲に自生していたカラマツ、白樺等の樹木が立ち枯れるという、自然が破壊された結果、このような美しい風景が創造されるようになったとは誰が予想したであろうか。自然災害から人々を守るためにやむなく自然を破壊した代償として、天地創造の神がこの風景を下されたと思えるような神秘的な美しさが見る人々の心に染み入ってくるのである。