富良野の田園地帯を抜けて美瑛に向かう。今回の旅行で一番訪れたかった場所、「青い池」である。途中万年
青
い池は美瑛町の東南部、美瑛川左岸の標高約500メートルに位置しており、十勝岳の麓に湧く白金温泉から
約2.5キロ北西の地点にある。
この池は1988年(昭和63年)12月に噴火した十勝岳の堆積物による火山泥流災
害を防ぐため、美瑛川本流に複数建設された堰堤のひとつに水が溜まったものである。この堰堤はコンクリート
ブロックによるもので、北海道開発局により1989年(平成元年)6月に着工され同年年末に完成した。美瑛川を横
切る形で施工され、本流から離れた両岸の森林内部まで堰堤が造られた結果、美瑛川左岸側のブロック堰堤に
水が溜まるようになり、周囲に自生していたカラマツ、白樺等の樹木は、水没し立ち枯れた。したがって、目的を
持って造られた溜池や貯水池などとは異なり、青い池は偶発的に人造池となったものである。
ことによって分散され一種のコロイドが生成される。水中に差し込んだ太陽光がコロイドの粒子と衝突散乱して
水の吸収による青色の透過光が加わり、美しい青色に見えると言われている。水の青さと立ち枯れた木々の幻
想的な景観から、その存在がカメラマン等を中心に口コミで広がり、いつの頃から誰からともなく「青い池」と呼ば
れるようになったという。
火山泥流災害を防ぐために建設された堰堤で周囲に自生していたカラマツ、白樺等の樹木が立ち枯れるとい
う、自然が破壊された結果、このような美しい風景が創造されるようになったとは誰が予想したであろうか。自然
災害から人々を守るためにやむなく自然を破壊した代償として、天地創造の神がこの風景を下されたと思えるよ
うな神秘的な美しさが見る人々の心に染み入ってくるのである。