洞窟から左方の岩山を登った奇岩の中にお堂があった。お堂の中に鎮座しているのは「虚空像菩薩」である。こ
の菩薩は807年に坂上田村麻呂が創建したものという。ちなみに虚空像菩薩は知恵や福徳をもたらす菩薩であ
り、そのご利益は成績向上や記憶力増進、商売繁盛、技芸向上など。丑・寅年生まれの方の守り本尊である
が、悩めるすべての人々を救済する力を持つ菩薩という。
「虚空像菩薩」に手を合わせた後帰途につくため吊り橋を渡っていると雲間から顔を出した太陽の光に渓谷全体
が浮かび上るように輝き出した。橋を渡り切って改めて対岸に広がる「塔のへつり」の渓谷美に別れを告げ、こ
の日の宿となる裏磐梯のホテルに向かった。