京・近江の写真 春夏秋冬

京、近江四季折々の自然の風景とそこに住む人々、祭り、伝統芸能の写真

中山道 柏原宿

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徳源院枝垂れ桜を見たあと近くの中山道柏原宿を訪ねた。


柏原宿は中山道60番目の宿場(中山道六十九次)で、現在は滋賀県米原市。『太平記』にすでに記載されてい


る中世以来の宿場。艾(もぐさ)が特産品で、最盛時には10軒以上の艾屋があったという。天保14年(1843年)の


中山道宿村大概帳』によれば、柏原宿の宿内家数は344軒、うち本陣1軒、脇本陣1軒、旅籠22軒で宿内人口


1,468人であった。この柏原宿をさらに東に進むと、今須宿を経て関ヶ原宿に入る。


上記最初と最後の写真は伊吹堂亀屋佐京商 にて 創業寛文元年、柏原に現存する唯一の伊吹もぐさの老舗


である。店構えをみると往時の繁栄を物語っている。


司馬遼太郎の著書「街道をゆく 近江奈良散歩」にはこの艾(もぐさ)のことが記述されているので紹介しておき


たい。


「柏原の宿場は、伊吹山の南麓にある。


伊吹山は、胆吹山とも書く。古語で呼吸のことを息吹という。伊吹山は、たえず風や雲を息吹いている。古代人


山岳信仰では、山から、おろしてくる風は神の息吹であるとしていた。山は、標高1377メートルである。近江第 

一の高山で、古代のひとびとがこの山をたえず息吹いている精霊とみただけでなく、ふしぎに薬草が多く、いか

にも奇(く)すしき山とみていた。


十世紀に編纂された律令国家の法典である「延喜式」に、諸国から朝廷に貢進する薬種のことが列記されてい

るが、そのなかで近江がもっとも多く、73種にものぼっている。そのほとんどが伊吹山で産する。


なかでも、灸のもぐさが代表的である。」


中略


 「江戸期に、この山中の宿場で、街道に面してもぐさ屋が十数軒もあり、明治後は一軒きりになってしまった


が、江戸期はどの店も繁昌していた。中山道を往来する旅人は、伊吹山の南麓の柏原宿に入ると、たいていは


もぐさを買う。とくに参勤交代のための大名行列がこの宿場にとまったりすると、ひとびとはあらそって江戸や国


もとのみやげに袋入りのもぐさを買った。おもしろいことにどのもぐさ屋も「亀屋」という屋号を名乗っていた。鶴は


千年、亀は万年という、その亀のイメージで薬効を象徴させていたのである。おかしさは、おそろいで「亀屋」だっ


たということで、このことは近江商人がたがいに足をひっぱりあわないという気風とかかわりがあると見てよい。」


後略