京・近江の写真 春夏秋冬

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愛読書24 「夏草の賦」

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夏草の賦」は、19669月から19675月にかけて地方紙に連載、文藝春秋により刊行されました。

戦国時代から安土桃山時代にかけての四国の大名長曾我部元親主人公とした作品です。戦国の世、

「鬼国」と呼ばれた僻遠の地である土佐に生まれた長曾我部元親は、織田家に仕える斎藤利三の妹であ

り、織田家中でも随一の美貌といわれた菜々を娶ります。この頃まだ数郡を切り取った小領主にすぎな

い元親は、菜々の縁もあって同じく中央で新興勢力として台頭しつつあった織田信長と誼を結び、権謀

術数の限りを尽くして土佐の切り取りを推し進めていきます。
 
◎わたしと「夏草の賦

土佐の一大名に過ぎなかった長曾我部元親ですが信長のあと天下を引き継いだ秀吉は四国の平定を果た

した元親を屈服させるべく大軍を送り込みます。 再び存亡の危機に立たされた元親は徹底抗戦で玉砕す

る道を選びますが、刃折れ矢尽き、ついに家臣の説得に応じて秀吉の軍門に降ります。 彼が半生をかけ

て切り取った領土は土佐一国を除いて召し上げられ、また秀吉という人物に直接触れることでその器の

大きさを、思い知らされた元親は、彼の野望に幕を下ろします。後年関ヶ原の戦いで豊臣方に組した長

曾我部家は潰されることになり徳川家康に戦功を認められた山内一豊が入部しますが、このとき山内一

豊が連れてきた家来が上士となり一方土着の長曾我部家の侍が郷士となって差別されることとなりま

す。その対立は永らく続き、幕末に表面化して上士と郷士土佐勤王党の激しい内部抗争が起こるので

す。