創建当時境内を始め地域一帯が野うさぎの生息地で、多産なうさぎは古くから氏神様の神使いと伝えられる。治
承二年には中宮も御産の際に安産の祈願をされた。安産の神としての信仰は厚く、腹帯を持ち込み祈願する慣
わしがある。巫女が釜の熱湯を束ねた笹の葉で周りに撒き散らと、周囲の見物客に動揺が起こる。カメラを構え
るわたしにも容赦なく熱湯がかかる。熱湯といっても細かな飛沫となっているから、火傷をすることはないが、そ
れでも直接肌に触れると熱い。だが周囲の人々はその湯を被ると無病息災の効験があるからと、顔を伏せて熱
湯の洗礼を受ける。わたしもカメラにかからないように頭を下げる。