境内には人影もなく庭園を拝観するのにどうしたらいいのかと思案していると、足音がして入口の方を見ると作
業衣を着た初老の人が農作業を終えたという雰囲気でやってきた。この寺の住職という。何処から来たとかとの
問いに対し住まいの場所をいうと、その辺りには檀家が10軒ばかりあり、よく出向くとのこと、また宗旨を問われ
真宗大谷派と答えると、この寺の宗派と同じであり親近感を覚えてくれたのか人懐っこい笑顔を浮かべて誘って
くれたそばの縁側に腰掛けてしばらく会話を交わした。庭園への入口はあちらと指をさしてくれ、入園料は?との
問に帰りに寸志を本堂の縁側に置いてくれればいいと言い残し、スタスタと庫裏のほうへ去って行った。観光寺
院ずれしていない住職の態度に好感を感じながら、入口へと向かった。
庫裏と自宅を繋ぐ渡り廊下の床を上げて庭に入ると美しい庭園が広がっていた。