としての地位を保ち、近江守護佐々木氏の崇敬と庇護を受けて栄えていた。しかし、永正13年(1516年)、佐々
木氏と伊庭氏の対立による兵火により伽藍は全焼。現存する堂宇は室町時代から近世初期にかけて再建され
たもの。本堂近くの駐車場から石段にでると迎えてくれるのが長命寺への入り口である冠木門、山門はない。冠
木門をくぐり最後の石段を登りきると正面に見えるのが三重塔(重要文化財) - 本堂の東方、やや小高くなった
ところに建つ。高欄擬宝珠銘から慶長2年(1597年)の建立と判明する。こけら葺きで全面丹塗(にぬり)とする。
和様の一般的な三重塔であるが、三重塔の屋根こけら葺の葺き替え修理事業が、本年3月に完了した。三重塔
の屋根は、さわらの割板を竹釘で打ち締めるこけら葺と呼ばれる伝統的な技法を用いて修理が行われた。その
他にも外部の丹塗りや黄土の塗り替え、風鐸の金箔の押し直し等飾り金具の修理を行なわれ、三重塔は建立
時に劣らぬ姿に甦った。三重塔の左手にあるのが本堂(重要文化財) - 入母屋造、檜皮葺き。桁行7間・梁間6
間の和様仏堂である(ここでいう「間」は長さの単位ではなく、柱間の数を意味する)。寺の文書から室町時代・大
永4年(1524年)の建立と判明している。