からやってくるようで、そのうちバスツアーでやってくるかもしれない(夏の京を訪ねるバスツアーはあるが八朔
職者が激増して、いままでの企業戦士が退職後の趣味として手軽なカメラを選ぶことからカメラ愛好家が増加し
ているのではないか。優秀で安価なデジタルカメラが出回っていることも拍車をかけている、ということである。愛
好家が増えれば当然そのマナーも悪くなる。誰もがカメラマンを構える人物が写真に写り込むことを嫌がるのは
当然であるが、芸舞妓さんの姿が見えると誰よりもいいカメラポジションを確保しようと人波が崩れる。早くから
場所取りをしている愛好家の前に無遠慮に出て怒号を浴びる人もいる。狭い祇園町である。いい写真の撮れる
場所は限られている。たとえば白川の巽橋などは一番人気がある。巽橋を渡ってくる芸舞妓さんの写真は一番
目にする構図といっていい。芸舞妓さんたちの立場からすれば、一部の人々にしか祇園でのお座敷遊びのでき
ない世界で、芸舞妓さんたちを間近に見られるこの日、祇園にやってくる人々に対し、愛想笑いの一つもしてあ
げたい、ポースの一つもとってあげたいと思うだろうし、中には迷惑そうな、困惑した表情を浮かべる芸舞妓さん
もいるが、それも接客サービスと思って心掛けている芸舞妓さんもいる。だがそれも限度ものである。パパラッチ
に追いかけられている有名人のような気持ちにもなるだろう。今年巽橋のたもとで小さな異変があった。例年な
ら姿を見せてもいい時間になっても誰も橋を渡ってこないのである。どうやら橋を渡るコースを避けたようなので
ある。毎年この場所でのニュース映像を流すため、早くから場所取りをしていたNHKや民放のテレビカメラマン
やスタッフは大慌てで他所に移動していくというハプニングが見られた。また移動に徒歩をやめてハイヤーを利
用する芸舞妓さんもいるからなかなかいい写真が撮れない。また芸舞妓さんの居場所を携帯電話で情報交換
するグループもいる。
このように八朔の日の午前中は祇園町全体が大勢の人波と喧噪に包まれ、真夏の熱気はさらに高まるのであ
る。そんな写真愛好家の姿を追った。もちろんかくいうわたしもその一人である。もちろんマナーは守っているつ
もりだが・・・