三井の晩鐘から目を転ずると視野に入ってくるのが国宝の金堂である。流麗な檜皮葺が美しい。
造、檜皮葺きの和様仏堂である。なお、移築された旧金堂が延暦寺に現存する。
金堂の左裏手を案内板に従って進むと見えてくるのが弁慶鐘である。
梵鐘(弁慶の引き摺り鐘)-金堂裏の霊鐘堂に所在。「三井の晩鐘」の鐘とは別のものである。無銘だが、奈良
が、鐘が「イノー」(「帰りたいよう」の意)と鳴ったので、弁慶が怒って谷底へ捨てたという。現状、鐘の表面に見
られる擦り傷やひびはその時のものと称する。歴史的には、この鐘は文永元年(1264年)の比叡山による三井
寺焼き討ちの際に強奪され、後に返還されたというのが史実のようである。