京・近江の写真 春夏秋冬

京、近江四季折々の自然の風景とそこに住む人々、祭り、伝統芸能の写真

羊蹄山山麓をゆく

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娘が北海道の洞爺湖温泉に住まいするようになってから、北海道を旅する機会が増えた。昨年はまだ雪の残る
 
早春の四月に出かけた。その時は娘が休みを取ってくれて一緒に道南をドライブしたが、今回は娘の住まいに
 
寝泊りして毎日出かけることにした。当初富良野に一泊して富良野や美瑛の風景を撮る予定にしていたが、今
 
年の6月は大荒れの天気で、北海道に着いた日には豪雨でJR室蘭本線が全線運休するなど、6月の降雨量と
 
しては過去100年記録になかったとのことで、梅雨のない北海道として6月の北海道はもっとも人気のある季節と
 
して定着していたが、大雨の前には旭川などでこれも記録的な高温に見舞われるなど異常気象が続いていた。
 
そのような状況だったから富良野までの一人でのドライブ旅行に家人が反対したため、滞在中道南を中心に日
 
帰りドライブすることとなった。前述の通り梅雨のない初夏の北海道を旅して、北海道ならではの風景写真を撮
 
るつもりであったがかなわず、重苦しい雨雲の広かる風景写真を撮ることとなってしまった。だが逆にいえば初
 
夏の光に満ち溢れた明るく、華やいだ風景ではなく、雨に洗われた新緑の樹々が広がるしっとりと落ち着いた風
 
景もまた北海道の風景でないかとファインダーをのぞいているうちに思えるようになった。そんな雨に煙る道南
 
の旅にお付き合いいただければ幸いです。
 
まず洞爺湖の北に広がる蝦夷富士とよばれる羊蹄山山麓にある、羊蹄山の懐からの湧水がふき出す「ふき
 
だし公園」からわたしの旅は始まった。洞爺湖の西岸を走る国道230号線を北上。本来なら車窓の右側に見える
 
洞爺湖は煙ってはっきりとは見えず中ほどにある中島には雲がかかっていた。この朝雨足は大したことはなく、
 
羊蹄山山麓に広がる大地がわたしを迎えてくれていた。ほとんど車の見えない国道230号線をひた走りに走
 
る。時折いい風景があると路肩に車をよせて停車するが、道路幅がひろく、また路肩も広いから安心して停車で
 
きる。留寿都村(るすつむら)を過ぎ、演歌歌手細川たかしの出身地の真狩村(まっかりむら)の脇を過ぎて、尻
 
別岳の麓を走り、喜茂別町(きもべつちょう)に入り、国道276号線(尻別国道)に入って西に折れ、ふきだし公園
 
のある京極町に入る。美しく整備されたふきだし公園の湧水口には、羊蹄のふきだし湧水の給水口がいくつもあ
 
り、自由に汲むことができるようになっている。道の駅「名水の郷きょうごく」としても整備されていて、旧環境庁
 
定の名水百選に選ばれている羊蹄のふきだし湧水は、羊蹄山に降った雨や雪が数十年の歳月をかけて地下に
 
浸透し、京極のこの地に湧き出した湧水という。夏も冬も絶え間なく湧出し、水温は一年を通して約6.5℃で、一
 
日に約8tもの水量が湧き出している。売店で水を汲みに来た人たちのためにポリタンクを積み込む台車を貸して
 
いるのをみると休日などは名水を求めて沢山の人々がやって来るのだろう。だがこの日はウィークデーで辺りに
 
人影も少なく、湧水の水音ばかりが静けさを圧する。給水樋に架けられたコップで水を受ける。水流が強く、水が
 
勢いよく周囲に飛び散るほどで、冷たくておいしい水を二杯も飲んでしまった。周囲の新緑は本当に美しく心が
 
洗わるような心地で、写真を撮っているうち中国人の小団体客が賑やかにやってきたのを機に駐車場に戻っ
 
た。雨も止み曇り空がやや明るくなってきたので、これも羊蹄山の北東、ニセコ山麓にある神仙沼に向かうこ
 
とにした。