京・近江の写真 春夏秋冬

京、近江四季折々の自然の風景とそこに住む人々、祭り、伝統芸能の写真

仁和寺御室桜その2

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御室桜は春の澄み切った青空と背景の五重の塔が一番よく似合う。
 
五重塔重要文化財)  寛永21年(1644年)建立。塔身32.7m、総高36.18m。東寺の五重塔と同様に、上層から
 
下層にかけて各層の幅にあまり差が見られない姿が特徴的。初重西側には、大日如来を示す梵字の額が懸け
 
られている。塔内部には大日如来、その周りに無量寿如来など四方仏が安置されている。中央に心柱、心柱を
 
囲むように四本の天柱が塔を支え、その柱や壁面には真言八祖や仏をはじめ、菊花文様などが細部にまで描
 
かれている。 吉田兼好は有名な「徒然草」でこんな随筆を残している。
 
原文(『徒然草(二)全訳注』.p46)

仁和(にんわ)寺に、ある法師(ほふし)、年寄るまで、石清水を拝(をが)まざりければ、心うく覚えて、ある時思
 
ひ立ちて、ただひとり、徒歩(かち)よりまうでけり。極楽寺・高良(かうら)などを拝みて、かばかりと心得て帰りに
 
けり。

 さて、かたへの人にあひて、「年ごろ思ひつること、果し侍りぬ。聞きしにも過ぎて、尊くこそおはしけれ。そも、
 
参りたる人ごとに山へ登りしは、何事かありけん、ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意(ほい)なれと思ひて、山
 
までは見ず」とぞ言ひける。

 すこしのことにも、先達(せんだち)はあらまほしき事なり
 
現代語訳
 
仁和寺(にんなじ)のある法師が、年をとるまで石清水を拝んだことがなかったので、それを残念に思って、ある
 
時、思い立って、ただひとり、徒歩で参詣した。ところが彼は、極楽寺や高良(こうら)社などを拝んで、これで願
 
いがかなったと思い込んで帰ってしまった。

 そして、仲間に向かって、「長年思っていたことを、ようやく果たしました。評判以上に尊いお宮でした。それにし
 
ても、あの時に、参拝の人たちが皆、山に登って行きましたが、山の上に何事があったのか。気にはなったけれ
 
ど、神へ参るのが目的なのだと思って、私は山の上までは見物しませんでした」と言ったそうだ。

 少しのことにも、案内者は持ちたいものである。
 
学校の古典でも読んだことのある懐かしい文章である。