京・近江の写真 春夏秋冬

京、近江四季折々の自然の風景とそこに住む人々、祭り、伝統芸能の写真

中山道鏡宿界隈その1

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石灯籠 重要文化財
 
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宝篋印塔(ほうきょういんとう) 重要文化財
 
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鏡神社の前をもうしばらく近江八幡方面に歩くと、源義経宿泊の館跡の碑があり、その近くには宿場の本陣跡が
 
ある。ここらあたりが鏡の里の中心であったのだろう。鏡宿は平安末期より、鎌倉、室町時代までは宿場としての
 
賑わいをみせていたが、江戸時代に入ると、「守山宿」と「武佐宿」の間の宿(あいのしゅく)となってしまい、宿場
 
の指定から外されてしまったが、本陣、脇本陣も置かれ、特に紀州侯の定宿で、皇族、将軍家の御名代をはじ
 
め多くの武士や旅人の休憩の宿場町としての役目を果たしてきたという。
 
ここからいったん道の駅に戻って、駐車場を抜けて山に少し入ったところに忘れ去られたように遺跡が残ってい
 
る。この山への登り口一帯が鏡山十二峰の一つ星ケ峰の麓であり、西光寺という寺が建立されていた。西光寺
 
は伝承では最澄の開基で、嵯峨天皇の勅願所となって、僧房300を擁する大寺院であり、鎌倉時代から室町時
 
代にかけて将軍などの宿陣は当寺で行われることが多かったという。だが戦国時代に入ると信長の兵火で廃寺
 
となり、その名残にそっとたたずむ塔が宝篋印塔(ほうきょういんとう)という塔であり、総高210cm、笠石の下の塔
 
身の周囲は180cm。2段の基壇を築き、その上に孔雀の向かい合っている格挟間を彫った基礎を置き塔身、笠、
 
相輪を積み重ねている。石の角に梟(ふくろう)の彫刻は珍しく、国の重要文化財に指定されている。鎌倉時代
 
期1300年頃の作という。
 
その近くにある石灯籠が西光寺の鎮守、八柱神社(やばしらじんじゃ)の社宝で高さが2.8mもある背の高い灯篭
 
で、八角柱の灯篭は特に珍しく、また笠を持ち火袋には四仏が彫られていて誠に優美な意匠を凝らした灯籠で
 
ある。この塔も重要文化財に指定されており、室町時代初期の作という。
 
道の駅の駐車場からわずかに山に入った場所なのに、登り口そばの御堂にも人があまり来ないのか荒れた風
 
情で深閑とした中で二つの塔が凛としてその姿を見せているが、かつての僧房300を擁する大寺院の面影はな
 
い。