山鉾巡行の裏方を務める車方。巨大な鉾の足元で鉾の発進、停止、方向転換を担当するから巡行中は危険と
隣り合わせの部署である。特に動いている鉾の大きな
車輪の下に入って中腰でてこを車輪に
かまし、進行方向
を微調整するときが一番危険である。事故が起きても鉾はすぐには停まらない。見ていてもハラハラする瞬間で
ある。
方向を直角に転換する「辻回し」のときは音頭取りと同じように、車方は花形である。車輪を横滑りし易いように竹
を敷き詰め、その上まで鉾を移動させて水を掛けて滑りを良くし、音頭取りの掛け声で曳き方と力を合わせて一
挙に方向転換させる。無事辻回しが終わると周囲からヤンヤの
喝采が起こる。その歓声と拍手を浴びたいため
車方はひたすら裏方に徹する。