このレンガ倉庫一帯はインターネットの全国ロケーションデータベースで調べたら過去に10本ほどの映画
のロケーションに使用されている。思っていたよりも少ない本数だが映画が好きだからこの場所は馴染み
の場所だ。戦前は舞鶴鎮守府の施設として使用されていた一部だからいろいろと軍用に使われていたのだ
ろう。
映画は映像の魔術とも言われる。今日このレンガ倉庫の真ん中に立って周囲を見渡すといろいろな近代的
建築が視野に入ってくる。だが映画の区切られた方形の画面の中では、タイムスリップしその時代時代の
風景となる。これが魔術と言われる所以だ。特に最近はCGでもって写りこみに不都合な風景はコンピュ
ーター処理でもってその時代にふさわしい風景にしてしまう。まさに現代の魔術である。小生は子供のこ
ろ京都の東本願寺のそばに住んでいたからいろいろな時代劇映画のロケがやってきた。アスファルト道路
には砂利や砂を敷き詰め、電柱には杉の皮を巻いて杉の立ち木に見えるようにしていたのを覚えている。
これなども魔術の種明かしみたいなものだ。京都も昭和30年代以前は時代劇映画のロケ地にふさわしい場
所は幾らでもあった。だが今日そんな場所はほとんどなくなってしまった。映画製作でロケ地を探すロケ
ハンというのが一番大変らしい。それが最近全国の自治体などが中心になってロケーションの場所やエキ
ストラの募集、ロケ先との交渉ごとなどロケにかかわる情報を提供したり支援したりする仕組みが確立し
てきた。地方公務員でも映画好きがその担当窓口になったりするらしい。インターネットの全国ロケーシ
ョンデータベースのサイトなどはその典型だ。最近ヒットを飛ばした「おくりびと」などはロケ地の山形
県の酒田市がすっかり人気スポットとなって大勢の観光客が訪れるという。みんなが映画文化に関心をも
って映画を通していろいろな地域が活性化する。結構なことである。