ほら貝の合図とともに大蛇に見立てた青竹を鞍馬法師が伐り、農作物の豊凶を占う。平安時代、修行中だ
った峯延上人が現れた大蛇を法力で退治した故事にちなみ、はじめられたという。水への感謝と五穀豊穣
を願う神事である。
鞍馬法師の気迫に満ちた鋭い気合が鞍馬山の静寂を裂くように響き渡る、と同時に振り下ろされた山刀の
刃が青竹に食い込んだ乾いた衝撃音が響き、次の瞬間には青竹が裂ける鋭い音がする。そして青竹を回転
させながら山刀は何度も何度も振り下ろされて、青竹は鋭い切断面を見せながら切断される。
山刀を振りかぶる鞍馬法師の額には汗が浮かびあがり、両足に根が生えたように踏ん張る姿は勇壮な千年
の古式そのものである。