京・近江の写真 春夏秋冬

京、近江四季折々の自然の風景とそこに住む人々、祭り、伝統芸能の写真

新町通りをゆく函谷鉾その1

      

      

長刀鉾を見送ったあと、人混みで込み合う新町通りを避けて、一本西の通りを南下して新町通りに出た。通りの北に目を向けると長刀鉾の次の鉾、函谷鉾の威容が目に入った。広い御池通りを巡行するときは手持無沙汰の屋根方も細い通りに入ると面目躍如、大きな鉾が両側の民家や電柱に触れないよう屋根の上から支持するのである。細い通りを大きな鉾が見る者をハラハラさせながら巡行するのが鉾巡行の醍醐味なのである。昔はその細い通りで厄除けのちまきを配り、観衆はそのちまきを得ようと人波が大きく崩れたものだが、危険だから今はない。だがすぐそばを大きな車輪がギシギシ音を立てながら通り過ぎてゆく迫力は昔と変わらない。鉾の組立ては一切釘を使わず荒縄だけで絞めて組み立ててゆく。だから鉾全体の柔軟さが柳の木のようにしなうことで鉾は重量を分散させている。だから鉾が動くときは鉾全体がぎしぎしと音をたててしなるのである。そうこうするうちに函谷鉾の姿は大きくなり、周囲は拍手と歓声に包まれる。