8月16日京都東山の大谷祖廟にナイター墓参で出掛ける。暑い陽射しを避けての墓参のあと大文字送り火を見
にいくのが毎年の我が家の恒例である。地下鉄の東山で降車して白川に沿う道路を行くと、川端のテントで数人
の僧侶の読経姿が目に入ってきた。お盆に行われる三界萬霊供養である。三界とは仏教用語で、無色界、色
界、欲界を指す。三界のうち欲界が最下層。淫欲・食欲・睡眠欲など本能的な欲望が強い世界。欲界の上を色
界という。色とはカラーだけではなく、形あるもののことで、欲望を離れた浄妙な物質からなる世界であり、欲望
は超越したが、物質的な束縛はまだ残っている段階をいう。色界の上にあるのが無色界。色を持たない世界で
ある。欲望も物質的な面も超越した、精神的な要素のみからなる高度な世界を指す。すなわち三界萬霊供養と
はこの世あの世のあらゆる霊を供養するということであろうか。白川のせせらぎに合わせるかのように読経が流
れる厳粛な空気が辺りを包んでいた。